Discover Blueでは、神奈川県新しい公共の場づくりのためのモデル事業に真鶴町と採択され、町立遠藤貝類博物館と皆さんに海の生物や生態系を知っていただくイベント「海のミュージアム」を開催しています。
2月2日(土)は、海のミュージアム「真鶴半島ネイチャーウォークⅡ」を開催しました。ネイチャーウォークでは、神奈川県の自然公園特別地域に指定されている真鶴半島の森林や海岸を専門家と一緒に巡り、各所で解説を交えながら真鶴半島の自然や文化などを紹介します。
前回1月20日の1回目に引き続き今回は2回目で、真鶴港を出発し、山下浜~琴ヶ浜~お林遊歩道~灯明山~遠藤貝類博物館の半島東側コースを散策しました。
当日の真鶴は朝から雨模様で心配していましたが、予報通り、開催時刻には雨は上がり、空には虹が見えました。その後は青空が広がり、歩くと暑いほどのぽかぽか陽気のもと、イベントを開催することができました。
真鶴港にて。青空が広がりました。 |
真鶴港を出発し、まず最初に「しとどの窟(いわや)」を見学しました。
ここは、源頼朝が石橋山の合戦での敗北のあと、隠れた場所だと言われています。また、真鶴では昔から石を切り出して、お城の石垣等に利用して来ましたが、ここに置かれている石には、昔の人々が石を切り出したときにつかった杭の跡を見ることができます。現在のように、大型重機はなかったころ、人々は固い岩を知恵や工夫によって切り出していました。
しとどの窟。石橋山の合戦に敗北した源頼朝が隠れた場所と言われます。 |
真鶴の歴史に少し触れたあとは、山下浜から海岸沿いの遊歩道を琴ヶ浜へ向かって歩きました。岩礁には海藻や海苔が生い茂り、それを食べるアメフラシや巻貝などの生物が少しずつ増えてきました。
琴ヶ浜。先月には見られなかった生物たちが増えてきました。 |
琴ヶ浜で生物を探したあとは、森林遊歩道へ向かいました。午前中までの雨のおかげで、雨上がりの森の気持ちよい匂いが漂っていました。
真鶴半島の森林は、江戸時代に小田原藩の御用林としてクロマツが植林され、明治には皇室の御用林となりクスノキが植林されました。その後、真鶴町に払い下げられ、それ以来、「お林」として町民によりずっと大切にされてきました。また真鶴半島の自然の植生はスダジイであるため、お林には主に過去に植林されたクロマツ、クスノキとスダジイの3種類の巨木が立ち並んでいます。
お林の中でも、もっとも大きいとされるのが、森林遊歩道入り口から灯明山へ向かう途中のクスノキです。樹齢100年と言われるこのクスノキは、大きすぎて写真をとっても幹の一部しか入りませんでした。こんなにすばらしい木が残っているのも、「お林」として地域の人々に大切にされてきたからです。
お林で一番大きいクスノキ。 |
海には陸よりも早く春がやってきます。お林の中と琴ヶ浜の様子を比べてみると、そのことがよくわかりますが、海の中では多くの生物が活動し、すっかり春のにぎわいを見せています。2月9日に開催する「水中映像上映会」では、この時期の真鶴の海の中の様子もご紹介します。先日、ディスカバーブルー代表理事の水井が、海中景色や海でしか出会えない生物たちの様子を撮影しました。上映作品2本と併せて、ぜひご覧ください。ご来場お待ちしております。