8月24日(日)は、海のミュージアムと8月9日から開催されていた、町の魅力をアートを通して体験するイベント「真鶴まちなーれ」との連携イベントとして『お林ネイチャーウォーク』を開催しました。
真鶴半島の先端部は、常緑照葉樹の林が広がっていますが、町の人からは「お林」と呼ばれて、昔からずっと大切にされてきました。そのおかげで、市街地から近くアクセスの良い場所にも関わらず、陸から海岸へと続く豊かな自然を観察することができます。
曇り空で真夏の蒸し暑い日でしたが、お林の中はひんやりと涼しく、風が吹けば自然のクーラーのようでした。上を見上げると、お林を構成する主な樹木であるクロマツ、クスノキ、スダジイの木々の葉が生い茂って日光を遮っているのがわかりましたが、これらの樹木は成長するのに適した環境がそれぞれ異なるので、自然の森林では一緒に見られることはありません。つまり、お林が人々の手によって植えられ管理されてきた歴史があるということを樹木の種類が示しています。クロマツは江戸時代に、クスノキは明治時代に植樹され、その後、自然発生でスダジイが育ったので、お林で観察できる大木は大変珍しい組み合わせになっているのです。
お林の木々は大きく、下から見上げるとはるか上にクスノキやスダジイの樹冠が見えます。 |
お林では、草花などの植物や木の実を観察するのも楽しみの一つです。当日はヤブミョウガの白い花がそろそろ終わりに近づき、黒い小さな実をつけているのが印象的でした。また、イヌビワはイチジクのなかまで、なかなかおいしいとのことで動物も餌として好むものもいるそうです。
ヤブミョウガ。白い花が咲き、夏には黒い小さな実をつける。 |
イヌビワ。美味しいんだそうで、動物にも人気。 |
真鶴町では、こうしたお林の自然も町を訪れる人々に知ってもらおうと、特定の場所の紹介をスマートフォンで見ることができる「AR」という仕組みを「まちなーれ」期間中に合わせて設置していました。設定されたポイントで、イラストのカードにスマートフォンをかざすと、植物の解説などがわかり、専門のガイドがいなくても手軽に散策を楽しむことができます。
真鶴の海の自然が豊かであることの理由として、このお林の存在も欠かせません。また、お林の植生も海の影響を受けて魅力あるものになっていて、真鶴町は自然体験をして遊ぶのにも見どころがいっぱいです。今回のようなイベントの参加やARの利用などで、ぜひより多くのみなさまにお越しいただき、楽しんでいただければと思います。
ARで解説中。 |
※今回のイベントは、「真鶴まちなーれ」との連携企画として、真鶴町立遠藤貝類博物館が主催、特定非営利活動法人ディスカバーブルーが企画・実施しました。