Discover Blueでは、「海の授業 ~地域の海の自然を知る授業~」として、神奈川県内の小学校等を対象に出前授業を行っています。
6月10日と15日に、湯河原町立東台福浦小学校5年生のみなさんに「海の授業」をさせていただきました。
湯河原小の5、6年生は、地元の福浦漁協の漁師さんの協力で、毎年、漁船に乗って定置網の水揚げの様子を見学し、当日に水揚げされた魚の話を聞くなどし、地域の海の産業について学習しています。
今回、ディスカバーブルーではこの漁船乗船体験に併せて、地域の海の自然についての学習の指導をさせていただきました。
6月10日は漁船乗船体験の前に、事前学習ということで教室での出前授業を行いました。写真や映像などの資料を見てもらいながら、海に関する基本的なお話や、子どもたちみんなが暮らす地域の海の特徴やそこに生息する生物を紹介しました。
5年生の理科の授業では、ちょうどメダカなどの淡水の水生生物についての学習がはじまるということで、まずは基本のお話をさせていただきましたが、予想以上に海や生物について知っている子もいて、担任の先生も驚かれているほどでした。これまで特に学習する機会がなかったとしても、生活の一部として海が身近な存在なのかもしれません。
漁船体験では、漁師さんが魚を水揚げするところを見学しますが、その魚の餌になっているのはプランクトンです。当日は、船上でプランクトンを採取して、学校に戻ってからプランクトンの観察を行います。関心が高い子も、はじめてのお話ばかりでびっくりしていた子も、とても一生懸命授業に参加してくれて、最後の質問タイムでも活発に手を上げて発言してくれました。みんながどんなことに興味があるのか、気になっているのかがわかって、スタッフもうれしく感じました。
漁船体験当日は、前々日までの雨予報から一転、ぴかぴかの青空と穏やかな海況となりました。
ワクワクした雰囲気の子どもたちを乗せて、福浦漁港から船が出港し、しばらくすると自分たちが暮らす町を海から見渡せるようになりました。はじめて目にする光景に、みんなどう感じたでしょうか。こんな体験も本当に貴重で素敵だと思いました。
だんだんと定置網の設置されたポイントに近づいてきました。網のそばにはみんなの乗った船とはちょっと形のちがう船に漁師さんが乗っていて、網を船の中に引き入れる作業を見学したり、今朝水揚げされた魚の種類を紹介してくれました。海は穏やかといっても、揺れる船の上での水揚げ作業の大変な仕事や、魚などにとても詳しく、丁寧にみんなに教えてくれる漁師さんの話に、子どもたちもすっかり引き込まれていました。
スタッフも漁師さんさながら、漁船からプランクトンネットを下ろしてプランクトンを採取しました。こちらも子どもたちは興味深々で見てくれました。魚のように目に見えないため、上がってきたプランクトンネットに入ったのは一見すると水のようですが、透明ではなく濁っていて、その中をよく見ると小さな粒がぴょんぴょんと動いているのがわかりました。
港に戻ってくると、船酔いなどでちょっと疲れ気味の様子でしたが、給食を食べたら元気一杯で、午後からはプランクトンを顕微鏡で観察しました。顕微鏡を使うのもはじめてのみんなは、使い方の説明をきちんと聞いてプランクトン観察に挑戦してくれました。
「うわー、すごーい!」「動いた!」「私のはあんまり動かないよ?」みんな自分なりに観察して気づいたことや感想を教えてくれました。この日は植物プランクトンが大変多く、動物プランクトンが見えにくくなってしまうほどでしたので、なかなか動く様子が見れなかったのですが、海の中では目に見えなくてもこんなにもたくさんの生物、特にこの季節は植物プランクトンがいるのだということを実感してもらうことができました。
まとめに、海の食物連鎖のお話をして、質問を受けました。事前授業や漁船乗船体験を経験して、さらにレベルアップした質問も出ていました。たった2日間ですが様々な体験を通して、子どもの成長するパワーを感じました。今後、今回のことを踏まえて、また一緒に学習のお手伝いをさせていただき、地域の自然やそれを活かした産業などへの理解や愛着心へとつなげていくことができればと思います。
※この事業は、「2014年中央ろうきん助成プログラム」の支援を受けて実施しています。